きっかけ
先日、友人からこんな相談が届きました。
「取引先から『AdobeのPDFソフトを今すぐアップデートしないとPCがウイルスに感染して大変なことになる』という緊急メールが届いたんですが、これって本当ですか?」
「詐欺メールじゃないの?」「また大げさな話では?」
正直、最初はそう思いました。
でも念のため調べてみたら……これ、本当でした。
しかも、かなり深刻な話でした。
何が起きているのか
2026年4月、Adobe AcrobatとAdobe Acrobat Readerに重大なセキュリティ上の欠陥(脆弱性)が発見・公表されました。
CVE-2026-34621という識別番号がついており、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)やJPCERT/CCといった国の機関も「至急アップデートしてください」と緊急の注意喚起を出しています。
どんな欠陥なのか
難しい言葉で言うと「プロトタイプ汚染(Prototype Pollution)」というプログラムの欠陥です。
わかりやすく言うと——
「悪意のあるPDFファイルを開いた瞬間、PCの中で勝手に不正なプログラムが動き出す」
という状態です。
・リンクをクリックしなくていい
・「許可しますか?」というボタンを押さなくていい
・ファイルを開いただけで攻撃が完結する
これが最も怖いポイントです。
どのくらい深刻なのか
「怪しいPDFを開かなければ大丈夫」は半分だけ正しい
「知らない人からのPDFは開かないようにしてるから安心」
そう思っている方も多いと思います。
たしかに、怪しいPDFを開かないことは大切な心がけです。
でも今回の脆弱性に関しては、それだけでは不十分です。
理由は2つあります。
「怪しいかどうか見分ける」ことに頼るのではなく、アップデートで根本から対策することが大切です。
気をつける+アップデートする、この2つがセットです。
解決方法:今すぐアップデートを
対策はシンプルです。
Adobe Acrobat(またはAcrobat Reader)を最新バージョンにアップデートするだけです。
対象バージョンの確認
以下のバージョンを使っている方は要注意です(Windows・macOSどちらも対象)。
・Acrobat DC / Reader DC:26.001.21367 以前
・Acrobat 2024(Windows):24.001.30362 以前
・Acrobat 2024(macOS):24.001.30360 以前
アップデートの手順(手動)
- Adobe Acrobat または Acrobat Reader を起動する
- 画面左上の「≡(メニュー)」をクリック
- 「ヘルプ」→「アップデートの有無をチェック」を選択
- 更新が見つかったら、画面の指示に従ってインストール
- PCを再起動して完了
※「利用可能なアップデートはありません」と表示されるまで2〜3回チェックするのがおすすめです。
※ Adobe Creative Cloud経由でインストールしている方は、Creative Cloudアプリから更新できます。
さらに安全にするための追加設定(任意)
アップデートに加えて、以下の設定も有効です。
【JavaScript を無効化する】
「メニュー」→「環境設定」→「JavaScript」→「Acrobat JavaScriptを有効にする」のチェックを外す
※ 一部のPDFフォームが動かなくなることがあります。
【保護モードを確認する】
「メニュー」→「環境設定」→「セキュリティ(拡張)」→「起動時に保護モードを有効にする」にチェックが入っているか確認(通常はデフォルトでONになっています)。
まとめ
友人への返事はこうしました。
「本当だったよ。気をつけるだけじゃダメ、今すぐアップデートして!」
PDFは毎日使うものだからこそ、このタイミングで一度確認してみてください。
この記事はAdobe公式(APSB26-43)、IPA、JPCERT/CCの公開情報をもとに作成しています。

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